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(12)海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
我が国は、四面を海に囲まれた海洋国であり、海洋環境の保全にとりわけ強い利害関係を有しているが、昭和40年代初めまでは、船舶から排出される油による海洋汚染の防止について有効な規制措置が講じられないままであった。
昭和42年には、公害防止対策の総合的推進を図ることを目的として公害対策基本法が制定されたが、同時に我が国は、「1954年の油による海水の汚濁の防止にための国際条約」を受託することとし、その実施のための国内法として「船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律」が制定された。
その後昭和45年には、公害防止に関する社会的要請の急激な高まりを背景として、いわゆる公害国会において多数の公害防止関係法律の制定・改廃が行われたが、その一つとして、上記法律を廃止し、新たに「海洋汚染防止法」が制定された。海洋汚染防止法は、1954年条約の1969年改正の内容を改正条約が未発効のまま先取り的に取り込むとともに、我が国独自の規制として、陸上発生廃棄物の船舶からの海洋投棄の規則を含む船舶からの廃棄物の排出規制、海洋施設からの油および廃棄物の排出規制、油等による海洋汚染の防除措置等を定め、海洋汚染防止に関する総合的な法体系を形成するものである。
海洋汚染防止法は、昭和48年に、船舶所有者等にオイルフェンスその他の排出油防除資材の備付けを義務づけるための改正が行われ、さらに昭和51年には、東京湾で発生しだLPGタンカー「第十雄洋丸」の衝突・炎上事故(昭和49年)等を契機として、引火性危険物の排出があった場合の措置等海上災害防止対策を強化するための改正が行われ、法律の題名も現在の「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」と改められた。
一方海洋汚染防止条約は、規制内容ごとに附属書Iから附属書Vまで5つの附属書に分けられており、各附属書が独立して発効するという形をとっているため、我が国はすべての附属書に加入するとともに、その国内実施に当たっては各附属書の発効に合わせて順次関係規定を実施させていくこととし、改正法を5条に分け、各附属書の発効に合わせて5度にわたって順次段階的に施行することとしている。
改正法各条と各附属書との関係は次のとおりである。

 

 

 

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